八方睨み鳳凰図
葛飾北斎×八方睨み鳳凰図
天井絵『八方睨み鳳凰図』は、葛飾北斎が88歳から89歳にかけての作品といわれています。北斎は83歳を初めとして小布施に4度訪れており、4度目の滞在時に約1年をかけて大間天井に鳳凰図を描きました。翌年江戸に戻り、90歳で亡くなっています。
大きさは畳21枚分。塗り替えは約180年間の間一度も行っておりません。北斎独自の技法により、どこから見ても鳳凰と目が合うように設計されています。
実はこの鳳凰図に隠し絵が隠されています。ぜひ探してみてください。
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Fukushima Masanori×Mausoleum
福島正則×霊廟
福島正則は元亀天正年間の戦国武将 豊臣秀吉の重臣として賤ケ岳の戦いでは「七本槍の第一」と称されました。また関ケ原の合戦でも勇名をはせ、広島城(49万8千石)の大大名になりましたが、幕府の謀略により元和5年(1619)秋、この信越地方(4万5千石)に国替えさせられました。
正則の菩提寺は「京都 臨済宗大本山妙心寺・塔頭海福院」ですが、国替え・移封のため、当地にも菩提寺を求めました。正則は禅の信者であり、観音信仰が篤い方で、その縁から当院を復興し「海福寺」の寺号を附加して中興開基となられました。
霊廟には遺骨を埋葬し、「海福寺殿前三品相公月翁正印大居士」の戒名を刻んでいます。遺品の一部が本堂内に展示されています。
築城不可・領地分散等種々の制約の中、住職 壽鑑和尚との深縁をもって悲運の名将正則はここに眠っています(墓所はその他各所にあります)
※冬期はお入りいただけません -
Kobayashi Issa×The Pond of Frog Battle
小林一茶×蛙合戦の池
「やせ蛙 負けるな一茶 是にあり」
俳人 小林一茶が病弱な初児 千太郎を想って句を詠んだ"蛙合戦の池"。池のほとりには一茶直筆の句碑があります。春の花見が終わる頃になると、裏庭の小さな池に大人の手のひら大のアズマヒキガエルがいずこともなく集って来ます。メスの産卵をオスが手伝うためですが、メスが少ないために奪い合いとなって合戦となります。
ここで生まれた蛙たちは3年から5年でまたこの池に産卵に下りてきます。そのため“必ずかえる”福蛙とも呼ばれています。
※冬期はお入りいただけませんが、本堂内から鑑賞することができます。
岩松院×四季
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Spring春
花ひらく、心ほどける春
吉野桜、枝垂れ桜、八重桜 ——
咲く時期をずらしながら境内を彩る桜に迎えられ、参道の小川では水芭蕉が瑞々しく芽吹きます。
裏庭の池ではアズマヒキガエルによる「蛙合戦」が繰り広げられ、お庭ではミツバチや蝶たちが花々を飛び交い、春の生命のエネルギーを感じさせてくれます。毎年4月29日のお祭りには多くの方々が訪れ、にぎやかな一日となります。
春めくお庭のにぎわいと、鳳凰が見守る本堂の静けさ——その両方に、どうぞふれてみてください。春に見られるその他の草花福寿草、梅、芝桜、山茱萸、椿、杏、猫柳、山茶花、シャガ、沈丁花、沢潟、坐禅草、水仙、水芭蕉、菖蒲、芍薬、ウツギ、梅花ウツギ、カキツバタ
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Summer夏
深緑にひそむ、生命の音
初夏の「蛙合戦の池」には、河骨の黄色い花が水面に浮かび、ムクゲや御柳、白やピンクの紫陽花が境内の夏を彩ります。
木々の緑がいよいよ濃くなるころ、青々と萌える雁田山を背に抱き、赤い屋根の本堂が鮮やかに映えます。
池の水音に包まれながら歩くひととき、どこからともなくセミの声が静かに響き、木陰をわたる涼風が頬をやさしく撫でていきます。
五感でふれるのは、田舎だからこそ出会える、信州の「夏の涼しさ」です。夏に見られるその他の草花さつき、つつじ、百日紅、紫蘭
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Autumn秋
色づく葉音、歩くたびに
紅葉、銀杏、欅が境内を赤や黄金に染めるころ、ピラカンサの実や彼岸花の赤、山椒の葉の香りが、秋の彩りに深みを添えます。
総檜造りの仁王門では、ユーモラスな仁王像が訪れる人をやさしく迎え、カメラを向ける笑顔が秋の境内をにぎやかに彩ります。
町の中心では栗ご飯やお蕎麦を楽しむ人々で活気にあふれ、その余韻を胸に、多くの方が岩松院を訪れます。
秋ならではの美しい景色とともに、にぎわいの季節を味わってください。秋に見られるその他の草花秋桜、錦木、シオン、菊、柿
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Winter冬
雪に包まれる、静寂の時間
一面の銀世界が、境内を幻想的に変える冬。踏みしめる足音さえ、雪にそっと吸い込まれていきます。
本堂に入ると、凛とした空気のなかで北斎の「八方睨み鳳凰図」が静かに浮かび上がります。
誰にも邪魔されることなく、鳳凰とただひとりで向き合う、静かな時間が流れます。
時を越えて守られてきたこの場所でそっと耳をすませば、心はゆっくりと整っていきます。
寒さは厳しいけれど、賑わう季節には味わえない——
冬だけの特別な体験を、どうぞ。冬に見られるその他の草花南天